
INAMA / イナマ
ワイナリー情報
イナマ社の歴史は創業者であるジュゼッペ ・ イナマが 1965 年にソアヴェ ・ クラシコ中央に位置するモンテ ・ フォスカリーノに畑を購入したことに始まります。 エノロゴとして約 20 年近い経験を持っていたジュゼッペの目的は「ソアヴェ地区の葡萄を使った最高品質のワインを造ること」 でした。
アルトアディジェ出身だったジュゼッペはフォスカリーノにガルガーネガだけでなく、 シャルドネやソーヴィニョンも試験的に栽培しました。研究に研究を重ね、 最初のワインがボトリングされたのは息子ステファノの時代になった 1991 年、その時に生まれたのが 「ヴルカイア ・ ソーヴィニョン」 と 「ヴルカイア ・ フュメ」 でした。その成功が礎となり、 翌年に現在のイナマを代表するワインである 「ヴィン ・ ソアヴェ」 「ヴィニェーティ ・ ディ ・ フォスカリーノ」 が生まれます。
ソアヴェから南東にあるコッリ ・ ベーリチ、 火山性土壌のソアヴェとは異なる石灰粘土土壌のこの地に畑を購入したのが 1990 年、雨量が少なく、 日照量の多いこの地に適した葡萄がカベルネソーヴィニョンやカルメネーレと判断し、 造られたのがブラディジズモでした。それからステファノはカルメネーレ種の秘めたる可能性に着目し、 さらに研究を重ねました。そして 2004 年にイナマのフラッグシップワインの1つである 「オラトリオ ・ ディ ・ サンロレンツォ」 が生まれ、2009 年にコッリ ・ ベーリチ DOC カルメネーレ ・ リゼルヴァとして認められました。
2010 年にステファノの長男マッテオが、 2017 年にアレッシオ、 ルカが入社し、 イナマの 3 世代目が幕を開けました。ソアヴェとコッリ ・ ベーリチのテロワールを最大限に表現するワインを造るために、より畑 (特に土壌) の研究を行い、 最高品質の葡萄栽培を目指しました。また、 その葡萄を最大限に活かすために 2017 年、 世界的醸造家であるステファン ・ ドゥルノンクール氏をコンサルタントとして招聘しました。家族経営であるイナマに豊富な経験を持ったエキスパートが集い、 偉大なワインを生み出す、 イナマの挑戦は留まることを知りません。
サスティナブル
イナマは、サステナブルかつオーガニックなワイン造りに取り組むワイナリーです。10年以上前に白ブドウの栽培に大きな変革を経験し、14年前にはビオロジック認証を取得しました。しかし、認証そのものがワインの品質を保証するわけではなく、あくまで指針の一つに過ぎないと考えるようになりました。ワイン造りは料理と同じく、レシピがあっても最終的な味は作り手の哲学と技術によって決まるため、認証機関を追い求めることはやめ、本質的な持続可能な農業を追求しています。
その一環として、バイオダイバーシティ(生物多様性)を重視し、草や昆虫、動物を排除せず、自然と共生する環境でブドウを栽培しています。森の中で育つような環境を再現することで、土壌の活力を高め、より質の高いワインを生み出せると確信しています。異なる植物が共存することで相互作用が生まれ、畑全体が健全に保たれると考えています。
さらに、ビテノーヴァ(オルネライアの栽培コンサルタント)と提携し、新たな栽培基準の確立に取り組んでいます。従来の認証制度では「やるべきこと・やってはいけないこと」が厳密に決められていましたが、
最新のサステイナブル認証のDiversity Arkを取得して、イナマでは畑の生物多様性を数値化し、
より実質的な評価を導入しています。例えば、10平方メートルあたりの植物や生物の種類を測定し、
畑の健全性を定量的に把握しています。その結果、新たな認証制度において10点満点中8.5点
という高評価を獲得し、さらに持続可能な農業の発展を目指しています。
また、環境負荷を最小限に抑えるため、トラクターの軽量化による畑のダメージ軽減や、60年以上の樹齢を持つブドウ畑の維持、剪定の慎重な管理を行っています。土壌の特性や根の成長を分析し、それに適したブドウ品種を選定することで、より最適な栽培方法を確立しています。
イナマは、単なる認証に頼らず、持続可能な農業の本質を追求し、科学的アプローチと伝統を融合させたワイン造りを続けています。自然と調和しながら、さらなる品質向上と持続可能な未来を見据えたワイン造りを目指しています。